こんにちは、「よこらぼマガジン」編集部の浅見です。
今回は、横瀬町に「よこらぼ」の発端となるプランを提案し、仕組みを構築していただいたリクルート様にお話を伺いました。お話いただいたのは、リクルートホールディングス Media Technology Lab.の金澤さん、株式会社ニジボックスの織邊さんです。
企業・団体と自治体のニーズが完全に一致していると感じた
本日はよろしくお願いします。まず、「よこらぼ」を提案された背景をお伺いできますでしょうか。
もともと、あるきっかけで富田町長とお話をする機会がございまして、そこでの会話がきっかけです。富田町長は、「横瀬町には東京やその他の場所から『人、モノ、情報』をどんどん入れていかなければならない。横瀬町に工場を作ってもらうといった“企業誘致”は現実的ではなく、横瀬町と一緒に取り組みを作る“事業誘致”が必要」という話をされていました。
この話を聞いてピンときました。私も東京で様々な企業とお仕事する中で、民間企業が自分達の事業を実践するプラットフォーム(地域)を求めている声はたくさん聞いていました。特に先進的なことを実践しているIT企業やベンチャー企業は、自治体と一緒にやりたいものの、どの自治体なら受け入れてくれるかわからず、連絡をしても最終的に協力の形に至ったケースが少ない。門戸の開いた自治体のニーズはいくらでもありました。
民間企業・団体は、事業をする場所を求めている、横瀬町はそういった企業・団体にどんどん来てもらいたい。そして何より、横瀬町は都心からも近い。これは完全にニーズが一致していると思い、今回の「よこらぼ」の取り組みを思いつき、提案しました。
横瀬町のポテンシャルは類を見ない予想以上の高さ
「よこらぼ」を提案するにあたって、横瀬町自体のポテンシャルはどの程度感じていましたか?
はっきり言って、横瀬町はポテンシャルの塊です(笑)
私たちはこういった取り組みを特定の自治体と行う場合、3つのポイントを大事にしています。それは①住民、②首長、③役場・役所です。これらが揃っているのが横瀬町。
具体的に「住民、役場、首長」がどのような点で良いと思われましたか?
はい、まず「住民」ですが、顕著なものが「町民体育祭」ですね。
8,000人が住む街でのべ3,000人が参加する体育祭なんて、他の地域ではなかなかないと思います。また、浅見さんのように地域のことを“自分ごと”と捉えて取り組む人が非常に多い。そういった点で、「住民」の方々のモチベーションの高さを感じています。
次に「首長」ですが、これは富田町長のお話から感じることができます。通り一遍等の「地方創生」ではなく、本質的に持続性のある取り組みをいかに横瀬町で実施するのか。そういった考えがあるからこそ、「企業誘致」ではなく「事業誘致」という発想も生まれると思います。柔軟な考え方を持った首長あっての新しい取り組みですからね。とても重要なポイントです。
なるほど、住民のモチベーションと首長の頭の柔らかさ、なかなか揃うことはないかもしれませんね(笑)。3つめの「役場」はいかがですか?
横瀬町役場には、とにかくチャレンジし続ける人々が集まっている、という印象を受けています。首長がやる気でも特に大きな自治体では、体制的な問題もあり、役場・役所がついてこられない、という地域もあると思います。ただ、横瀬町役場はコンパクトで動きやすい役場、そして、まち経営課の田端さんはじめ、ベテランの方から若手の方まで、積極的に関わっていこうとしています。
この3つの要素が揃っているだけで、可能性は十分にあるというのが正直な感想ですね(笑)。
企業・団体、町民、横瀬町、全てにメリットのある取り組みを実現したい
リクルートさんとして、「よこらぼ」を通して、横瀬町そして関わる企業・団体にどのようになってほしいと思いますか?
そうですね、企業・団体様については、しっかりとチャンスを見出してビジネスを確立してほしいと思いますね。
といいますと?
例えば、教育や医療のような「公共の領域」のサービスは、特に地方においては民間企業・団体が入ることは少なかったと思います。でも、「よこらぼ」を通じて自治体が門戸を開くことで、民間企業・団体が公共の仕事に携われるチャンスになります。
民間企業・団体が町に積極的に関わることで、住民は低コストで良質なサービスを受けやすくなります。
このように、官民連携を実践することは、企業・団体と住民、自治体それぞれにメリットがある取り組みが実現できます。今、よこらぼには、情報、観光、医療、教育など様々な提案が多く寄せられており、これらのプロジェクトが実現されたときに、横瀬町は全国、あるいは世界でも一番に新しいサービスが住民に届く町の一つになると思います
「個人的に」横瀬町のファンになってしまった
なるほど、それぞれにメリットのある状態を作り出せば、継続性のある本質的な地域活性につながりますよね。ちなみに、リクルートさんは今後も継続的に「よこらぼ」に関わっていきたいですか?
はい、もちろんです。当然、会社として今後どのように取り組みをしていくか、については協議が必要ですが、何よりも私が横瀬町のファンになってしまったことで、関わり続けたいという思いが湧いています(笑)。
昨年は、春夏秋冬それぞれの季節にプライベートで横瀬町を訪れました。これは地元の方と繋がることで、ガイドブックには載っていない、一つ一つの場所や行事のストーリーを聞くことができたからです。そうすると、一気に愛着が湧くんですよね。例えば棚田について今の姿になるまでの苦労話を聞いたり、宇根の祭りの深い由来を聞いたり…。そのため、個人的な想いも強くなり、今後も「よこらぼ」及び横瀬町には関わっていきたいと思っています。
最後に、リクルートさんが今後横瀬町に期待することをおしえていただけますでしょうか?
そうですね、前提としてお伝えしたいのですが、「期待する」というのは少しおこがましいですし、少し他人事に聞こえてしまいます。私はこの地を横瀬町の皆さんと“一緒に”良くしていきたいという想いがあります。決して「期待する」といった外から見た他人事ではなく、“自分ごと”として捉えています。
行政も、住民も、外の企業や団体も一緒になって公共をよくしていく未来の自治体のあり方が、いま取り組んでいる「よこらぼ」そのものであり、このモデルがしっかりと実現することの意味は、とてつもなく大きいものです。
ぜひ、私も“自分ごと”としてこの地に関わり続けていきたいと思っています。
とても、横瀬町への愛情に溢れるお話をいただきありがとうございました!
全国的に見ても、先進的且つ新しい官民連携の取り組み「よこらぼ」。その仕組みの背景には、企業・団体だけでなく横瀬町、町民がそれぞれ幸せになってほしい、という強い想いがあることを感じました。
また、個人的に横瀬町のファンになってくれたというのは本当に嬉しいことですね。住んでいる僕たちからすると、当たり前の景色が、外の人にとってはとても価値のあることだと再認識できます。
よこらぼマガジンでは、今後も「よこらぼ」で連携している企業・団体様の想いなどを伺いながら、町民の皆さんに情報を発信していきたいと思います。